Capote

茶々

2006年03月01日 10:40


アカデミー賞の授賞式の3月5日(日本時間3月6日)が
近づいて来たので、『ブログキャスター』でも、話題にした
『カポーティ』のお話でも、してみましょう。

『テクィファニーで朝食を』などの代表作を持つ、
有名な作家、トゥルーマン・カポーティが『冷血』(In Cold Blood)
というノンフィクションを書き上げていく過程を映画にしたものです。



主演のフィリップ・シーモア・ホフマン がね、凄かったんです。
だから、主演男優賞の一押し候補として名前を挙げてみました。
あくまでも、私が受賞して欲しいという基準です。

詳しく説明しようとするとどうしてもネタバレしちゃうから、
ここから先は、ネタバレ覚悟で読んで下さいね。ごめんね。

何を見ても、「凄い」ばかリ言ってて、申し訳ないんですが、
フィリップさんの演技がね、こう、物語の中に吸い込まれてしまう感じ。

主人公のトゥルーマンって、映画を見ていただけると、すぐ分かると思うんですけど、
かなりゲイな男性だったようです。
彼がブルックリンの家で、たくさんのお客様(業界人?)を招いて、
パーティをするシーンがよく出てくるんですけど、
その時の、皮肉まじりのジョークや、人々の態度が
とてもニューヨークを感じてしまいました。

さて、原作の方は死刑囚ペリーの生い立ちなどに焦点を当てたモノらしいですが、
映画のでは、ペリーとトゥルーマン自身の長年に渡る関わり合いに焦点を置いてます。

トゥルーマンは死刑囚のペリーを定期的に訪ね、彼の心を開かせて
いろいろと話を聞き出し、自分のノンフィクション小説を完成させようとします。
誰も訪ねてくる人のいないペリーは、トゥルーマンに段々と心を開きます。
最後には「友人」と呼ぶほどに、親密になります。
その過程が、実に巧みにスクリーンに映し出されていくんですが、
ホントに無駄のない映画で、話にぐいぐい引き込まれます。

でもトゥルーマンは、決して本心からペリーに優しくしてる訳ではないのです。
理由はもちろん、話を聞き出してノンフィクション小説として世に売り出すためです。
だから、彼は優しくしたり、突き放したりいろりろな手を使います。
だから時には、嘘をつく事も平気です。
ここで私は、「ああーニューヨーカー」って思ってしまうわけです。

そんなトゥルーマンですが、決して彼の事を嫌いにはなれないんですよ。
計算高いところもありながら、ペリーにどんどん親近感を抱いてしまうトゥルーマン。
極悪犯の死刑囚に共感を抱いても、ペリーはいずれ死刑なるのです。
死刑になるのが、延びれば延びるほど、彼の小説の出版も遅れるのです。
人間として、作家としての葛藤。そんな彼の苦悩がひしひしと伝わってきます。

たったの1時間半の映画なのに、キャラクターを強烈に印象づけ、
4年間(5年?)の時間の重みを見事に表現してました。

暗く、切ない映画です。

でも、その中に人間の優しい部分を見いだす事が出来る映画だと思います。

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