2006年03月01日

Capote


アカデミー賞の授賞式の3月5日(日本時間3月6日)が
近づいて来たので、『ブログキャスター』でも、話題にした
『カポーティ』のお話でも、してみましょう。

『テクィファニーで朝食を』などの代表作を持つ、
有名な作家、トゥルーマン・カポーティが『冷血』(In Cold Blood)
というノンフィクションを書き上げていく過程を映画にしたものです。

Capote

主演のフィリップ・シーモア・ホフマン がね、凄かったんです。
だから、主演男優賞の一押し候補として名前を挙げてみました。
あくまでも、私が受賞して欲しいという基準です。

詳しく説明しようとするとどうしてもネタバレしちゃうから、
ここから先は、ネタバレ覚悟で読んで下さいね。ごめんね。


何を見ても、「凄い」ばかリ言ってて、申し訳ないんですが、
フィリップさんの演技がね、こう、物語の中に吸い込まれてしまう感じ。

主人公のトゥルーマンって、映画を見ていただけると、すぐ分かると思うんですけど、
かなりゲイな男性だったようです。
彼がブルックリンの家で、たくさんのお客様(業界人?)を招いて、
パーティをするシーンがよく出てくるんですけど、
その時の、皮肉まじりのジョークや、人々の態度が
とてもニューヨークを感じてしまいました。

さて、原作の方は死刑囚ペリーの生い立ちなどに焦点を当てたモノらしいですが、
映画のでは、ペリーとトゥルーマン自身の長年に渡る関わり合いに焦点を置いてます。

トゥルーマンは死刑囚のペリーを定期的に訪ね、彼の心を開かせて
いろいろと話を聞き出し、自分のノンフィクション小説を完成させようとします。
誰も訪ねてくる人のいないペリーは、トゥルーマンに段々と心を開きます。
最後には「友人」と呼ぶほどに、親密になります。
その過程が、実に巧みにスクリーンに映し出されていくんですが、
ホントに無駄のない映画で、話にぐいぐい引き込まれます。

でもトゥルーマンは、決して本心からペリーに優しくしてる訳ではないのです。
理由はもちろん、話を聞き出してノンフィクション小説として世に売り出すためです。
だから、彼は優しくしたり、突き放したりいろりろな手を使います。
だから時には、嘘をつく事も平気です。
ここで私は、「ああーニューヨーカー」って思ってしまうわけです。

そんなトゥルーマンですが、決して彼の事を嫌いにはなれないんですよ。
計算高いところもありながら、ペリーにどんどん親近感を抱いてしまうトゥルーマン。
極悪犯の死刑囚に共感を抱いても、ペリーはいずれ死刑なるのです。
死刑になるのが、延びれば延びるほど、彼の小説の出版も遅れるのです。
人間として、作家としての葛藤。そんな彼の苦悩がひしひしと伝わってきます。

たったの1時間半の映画なのに、キャラクターを強烈に印象づけ、
4年間(5年?)の時間の重みを見事に表現してました。

暗く、切ない映画です。

でも、その中に人間の優しい部分を見いだす事が出来る映画だと思います。


同じカテゴリー(Flicks - 映画のこと)の記事
My blueberry nights
My blueberry nights(2008-09-07 08:00)

An Inconvenient Truth
An Inconvenient Truth(2006-09-01 13:25)

ユナイテッド93
ユナイテッド93(2006-06-26 12:32)

ネットフリックス
ネットフリックス(2006-03-14 16:04)


この記事へのトラックバック
ギャ〜!今マデドコ行ってたわけ!!!byタマおはようございます。ブログキャスターという雑誌を探しに冒険の旅へ出ていました。だって我らが茶々様(島根県ニューヨーク市在住)が記...
沖縄の星★茶々!【青春★ゴルゴUK】at 2006年03月02日 11:41
この記事へのコメント
茶々さん こんにちは 

ちゅうや トリプル コメント いっぺ~にへぇ~でぇ~びたん

それと ひねくれた コメント わっさいび~たん...

済みませんでした。

映画の評価 プロ級ですねぇ~ 関心致します

わんは 最近観た映画は 「ミュンヘン」です

この映画 エンターテイメント性は無いけど かなり考えさせる内容でした

しかし 「シンドラーのリスト」までは インパクトが無かったです

あれ? 急に共通語になってるさぁ~

最後に わんは ブログして2年半目になりますけど

最近のブログの傾向に 疑問を抱いております

述べれば キリが無いので 自分のブログで ちょくちょく 載せます

風邪に お気をつけて お仕事+ブログ ちばりみそぉ~れ ♪  
Posted by ローラーたか at 2006年03月01日 11:55
★ローラーたかさん、
いえいえ、うっかりしてたのは私の方です。失礼。
映画の評価っていうか、感想文です。
基本的に、「すごい」しか言ってない。(笑)
この記事、昨日のうちに書いていたので、
書く事に忙しかったのです。
この映画は、日本で公開されるかわからないので、
感想をお伝えしようかなと思ったのです。
「ミュンヘン」実は見てないんです。
テロものの映画、テレビ番組などが多い気がして、
ちょっと気が滅入るので、なかなか見に行く気がしなかったのが原因。
でも、スピルバーグ監督も頑張ったらしいから、見ておこうかな。
2年半のブロガーですか。すごーい。
また、遊びにいきます。
Posted by 茶々 at 2006年03月01日 12:12
こちらでは、はじめてコメントさせていただきます。
それと、私のブログへのコメントありがとうございました。

私も映画、人並み以上に好きですよ。
ウチも映画について書いていこうと思っています。
こちらで書かれていた事、参考にさせていただきますね。

よろしくおねがいします。
では。
Posted by 知人 at 2006年03月01日 23:41
茶々さん、私もフィリップ・シーモア・ホフマン好きです。っていうかごめんね名前は知らなかったけど、いろんな映画で主演というより脇役なんだけど、たまに主役よりも存在感があったり、いい演技しますよね。このポスターをみて、あれ?これって彼(フィリップ・シーモア・ホフマンじゃない?)って思って、でも主役するかな??と思っていたんです。でも、ストーリー的にはかなり面白そう!私も是非見よう!!アカデミー賞受賞式までには見たい!
Posted by Chico at 2006年03月02日 04:49
Comment arigato...
Kyou wa nihongo ga tsukae masen.
Ashita ohenji shimasu.
Posted by 茶々 at 2006年03月02日 08:06
かなり興味あります。この作品。
人の心って読めないから 難しいしおもしろい。
最近、人についてよく考えます。
早く観てみたいなぁ。。。
Posted by smile…m at 2006年03月02日 12:23
茶々おねーさまお久しぶりです。
面白そうなお話ですね。ビデオ出たら見たいかも。
自分は最近映画なんて全然見てないですね。
ジョディーフォスターのやつもそろそろ終りそうだし。。。
Posted by しょ~ at 2006年03月02日 13:07
茶々様
こんばんは!やっとTBさせて頂く事ができました。
んでコメントするのは忘れてしまった次第です。
あのね!カポーティの記事を待っていたのです!!!
フィリップ・シーモア・ホフマン君はマイフェイバリットなのです!!
本物のカポーティそっくりですよね。いいな〜早く観たいな〜♥
Posted by zoe at 2006年03月02日 20:10
★知人さん、
なんかすてきなハンドルネームですね。
映画って、奥が深いよね。何年経って見ても
面白いって思える物も多いし、一つの映画を通して、
世界中の人が同じ気持ちを共有する事が出来るし。
なんか、好きなのです。
知人さんが映画について書いたら、ブログで語ろうね。

★chicoさん、
アカデミー賞授賞式は日曜日だよ。間に合いそう?
じつは、フィリップさん、知らなかったのよね。
脇役としてキャリア長いらしいね。
映画、気に入ってくれると嬉しいです。

★smile...mさん、
この作品の事、知ってた?日本でも上映するのかな。
アメリカで、一番有名な作家とか言ってたと思う。
原作も読んでみようかと思うけど、暗い話なので
気合い入れて読まないと、私まで落ち込んじゃうかも。

★しょ〜たん、
お久しぶり。お留守番してるの?
映画は、さっさと見ていかないと、次から次から
新しいのがやってくるので、ついて行けなくなっちゃうよ。
って、別についていかなくてもいいのだけど。
わたしは、ゴッドファーザーとか、スターウォーズ、
ロード・オブ・ザ・キングなど、見逃しました。
今からでも見たいけど、つい後回しになります。

★zoeさーん、
きゃー、とってもド派手。嬉しいけど、ちょっと恥ずかしい。
でも、薔薇まで飾っていただいて、なんだかすごいです。
じつは本物のカポーティも知らないんだけど、
似てるって噂を聞いた気もします。フィリップ君、演技派だよね。
Posted by 茶々 at 2006年03月03日 10:56
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。