この映画の公開は2004年の12月末だったんですが、前回のアカデミー賞の
選考対象じゃなかったので、今回、第78回の選考対象に入っています。
有力候補のほとんどが最近の公開なので、アカデミー賞レース的には
時間が経ちすぎてちょっと不利な立場かと思われます。でも、いい映画ですよ。
私的にはとっても
感動
テーマは人種問題。映画の舞台は、人種の坩堝、ロス・アンジェルス(LA)です。
白人、黒人、中東系、ラテン系、中国人、などの異人種の人々が、いろいろなところで
関わり合いを持ちながら生活してるんです。毎日の暮らしの中で、人種差別したり、
逆差別されたりと、両方の視点から物語は進んでいきます。
アメリカって、移民の寄り集まりで出来た国だし、特にLAは、
白人が50%以下なので、マジョリティーな人種のいない地域でもあります。
だから、人種問題って誰にでもある身近な問題です。
やはり、話す言葉や文化や見かけが違うと、どうしても先入観を持ってしまうもの。
私が通ってたペンシルバニア州の大学はリベラル思考が強く、人種差別教育に
とても力を入れてました。田舎だったので、かなり白人社会。白人の学生達は、
彼らなりに気を使って、白人以外の同級生に対して文句を言い合う時など、
「私は人種差別主義者じゃないけど・・・(I am not a racist, but・・・)」と
いちいち前置きを忘れませんでした。それが彼女達の免罪符だったんでしょうね。
ある特定の個人を指してるだけなのに、そこまで気を使わないといけないんです。
映画の中で特に印象的だったのは、サンドラ ブロック扮する地方検事の妻(白人)が、
「黒人が近づいてきたからといって行って、逃げ出したら人種差別だと言われ、
逃げ出さなかったら、頭に銃を突きつけられるのよ。」という言葉。映画の中では、
大した意味を秘めた言葉ではないのですが、私にはこれが白人達の本音の様な気がします。
また、黒人少年の徹底的な白人嫌いも、いわゆる
逆差別ですよね。
こう言う感覚って、私はアメリカに住む様になって初めて分かりました。
物語はさらに、複雑に絡み合って、一言で説明できないんですけど、
誰か一人が良い人で、他は悪いというような話でもなく、それぞれの善と悪の部分が
うまく描き出されていて、結局は、どの人種もみんな同じと思ったりもします。
マット ディロンの演技は光ってました。そういえば、ゴッサム賞(Gotham Award)を
スタッフとしてお手伝いした時、トリビュートのプレゼンテーターだったドン チードルが
マット ディロンのことを「My friend」と呼んでいましたけど、この映画で
共演してたんですね。12月1日の記事をご覧下さい。→
速報 『Gotham Award』
ちなみに、2004年のゴッサム賞のアクター賞はドン チードルだったんです。
今、旬な2人が共演してる映画って、豪華でしょ。