2005年12月10日

Sex and the City の検証(5)

今日は、ミランダ ホッブスを検証します。

いろんなブログを読んでみたら、結構、まだビデオを見ていない人も多いようです。
今回は寝たばれ内容が多いので、見終わってから読んだ方が良いかも。ごめんなさい。

Sex and the City の検証(5)
ハーバード大学卒、弁護士の才女ミランダです。実際に、ニューヨークで成功してる人の中には、一流大学出身の人がたくさんいます。ハーバード大、マサチューセッツ工科大、コロンビア大卒の彼らとバーで仲良くなって飲み仲間になる事もありました。

さて、いつも辛口コメントのミランダですが、一流大学卒のエリートが、みんな彼女のようにシニカルなタイプかと言うと、そうでもありません。坊ちゃんタイプの素直な人いますし、冗談ばっかりの人もいます。その人の性格ですね。

Sex and the City の検証(5)ばりばり仕事をこなすミランダは弁護士事務所のパートナーの座を狙おうとして、レズビアンの振りをするエピソードがあります。パートナーになると言う事は、雇用者ではなく共同経営者になると言う事です。もちろん、自分も働きます。なぜ、レズビアンだとパートナーになれると思ったのか、という点に焦点を当てたいと思います。

アメリカの会社では、「男女平等」をとても意識します。それは何かあるごとに裁判を起こすと言う、慣例があるので、裁判沙汰をさけようという目的と、実際に裁判になった際、「日頃から男女平等な会社」というイメージをアピールするために有効だからです。よって、時々、わざと女性を選んで管理職に入れたりすることも、コーポレートアメリカのよく使う手です。(こう言う話は、大学の時に教授が余談として話してくれました。)

では、ミランダの「レズビアン作戦」は有効か。んー、方向がずれているようです。ゲイ、レズビアン公表作線は「レイオフ」(解雇)をさけるためだったら、有効ですが、パートナー昇格のための手段としては、効果が薄いと思います。なぜなら、ゲイ、レズビアン公表作線は、「カミングアウトしたから解雇された」と訴えることが出来るわけです。差別の対象ということですね。では、パートナー昇格はどうでしょうか。「カミングアウトしたからパートナー昇格させてもらえなかった」という理屈は、成り立たないと思います。よーく考えてみましょう。パートナー昇格は、選ばれた人が昇格するわけです。全員に与えられた権利ではありません。ということは、会社側は「彼女の能力がないからパートナーに昇格はできない」と反論出来ます。

弁護士事務所というのは、大変お堅い商売です。ある意味「頭良さそうなイメージが売り」な訳です。なので、レズビアン公表作戦はあまり意味がない行動。女性のハーバード大学卒というだけで希少価値があり、パートナー昇格のチャンスは他の人より大きいはずです。才女ミランダがそんな事気がつかないのでしょうか。ちょっと疑問です。

さて、彼女のプライベートライフですが、ニューヨークの出世組才女にありがちな、パターンです。仕事は順調だが、「釣り合う男がいない」、なので気がつくと次から次と男を変えていってしまう。プライベートが物足りなくて、ますます仕事にのめり込み、さらに出世する。完全な悪循環と言えるでしょう。

Sex and the City の検証(5)ですが、妊娠が分かった時、シングルマザーでも子供を育てて行く決心をして、ブレイディーと言う男の子を授かります。その後、運命のスティーブと結ばれることになります。このカップル好きでしたね、私。さて、この妊娠期間中に気になる事が。確か、ミランダは妊娠するまでは、週に100時間働いていたと言っていました。100時間って、月ー木で毎日20時間、7日間、休みなく働いても1日14時間ですよ。確かに、下っ端の弁護士さんは、泊まり込みで働く人達もいます。(元同僚の旦那さんは、3日間、オフィスに泊まり込みで働いてました。)でもね、ミランダは、パートナー昇格を目指す、シニアポジション。このクラスのポジションの人は、そんなに長く働きません。しかも、いつも、お洒落してキャリー達と遊びに行くじゃありませんか。


『いったい、どこにそんな時間があるの?』

アメリカは訴訟社会なので、石を投げれば弁護士に当たるというほど(うそ)、弁護士が多いです。特にニューヨークのパーティーで、集まった人達に職業を聞いたら、「弁護士」「金融関係」「音楽関係」「ファッション、アート関係」が、ほとんどを占めます。男性の弁護士さんは、あっちこっちのバーで夜遊びもしていらっしゃるようですが、女性の弁護士さんが夜遊びしてるのは、記憶にありません。

以前、大企業で、CFO(財務部長ってのかな)になった30代の女性の方とお会いしたけど、女性が出世するには男性の3倍働かないといけないっておっしゃってました。失敗すると「やっぱり、女だし」といわれるらしいです。(もちろん、法に触れないよう陰でこそこそね。) ヒミツ

なので、私的にはこの辺から、ちょっとミランダの役の設定と、実際のニューヨーク体験とのずれがあったんですよね。でも、スティーブと結婚し、家族のためブルックリンに引っ越す決意をするミランダ。マンハッタンを離れるにあたって、かなり抵抗を見せます。これは非常に象徴的で納得。

実はブルックリンはとても住みやすいです。地下鉄でマンハッタンまですぐで、とても便利です。お洒落なバーもあるし、美味しいレストランもたくさんあります。高級住宅地もあり、マンハッタンと家賃も変わらないところも多いんですよ。では、なぜミランダがあんなにも抵抗したのかというと、「独身貴族=マンハッタンのアパート」「家族持ち=ブルックリンの一戸建て」(一戸建てが帰る人は超大金持ちだけど)と言う、公式があります。要するに、「ミランダの青春の1ページが幕を閉じる瞬間」を象徴する引っ越しだったんでしょうねー。しみじみ。

さて、ミランダ役のシンシア ニクソンさん。実は4人のうち唯一のニューヨーク生まれのニューヨーク育ちです。なので彼女自身は本当のニューヨークを良く知ってるはず。ですが、私の検証結果は、ミランダ ホッブスは『実在しない』となりました。

これまでの検証も見てみたい方は、こちらをクリック
Sex and the City の検証(1)Mr. Big
Sex and the City の検証(2)サマンサ ジョーンズ
Sex and the City の検証(3)シャーロット ヨーク
Sex and the City の検証(4)トレイ マクドュガル


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