2006年02月08日

SAYURI

原作のタイトルは「Memoirs of Geisha」(メモワーズ・オブ・ゲイシャ)。
1999年にアーサー・ゴールデンという、ニューヨーク在住のアメリカ人が書いた本です。
当時、ニューヨークに住んでいたさゆりを良く知る、元芸者の日本人女性に
インタビューをし、書かれた本だそうです。その年のベストセラーになりました。
その後、名誉毀損で作者が訴えられるというスキャンダルもあったようです。

SAYURI1999年は私が渡米した年で、その記念すべき年に芸者の本がベストセラーになるのは幸先がいい感じがして、ボーダーズで一冊買いました。結局、さゆりが大人になる前に興味を失って、読み終わらなかったのですけどね。(笑)

全部読み終えたアメリカ人の友達は、すごく気に入ったらしく、前半はスローだけど、後半に盛り上がるんだよ、と言ってました。

さて、映画の方は、前半は、黒沢映画のような、暗ーいイメージで始まります。
原作の感じとはちょっと違うのですが、貧しい日本の田舎の雰囲気が出てます。
子役の女の子が、素晴らしくかわいかった。日本人かなあ。英語もお上手でした。

SAYURIその後ですが、時々、はっとするほど美しい光景なども出てくるのですが、なぜか、話が進めば進むほど、パワーダウンしてしまったような気がします。私的には、桜の咲く庭園サクラをさゆりとチェアマン(日本語だと議長さん?)が歩くシーンがとても素敵。絵になる場所で、絵になる2人。ピカピカでもね、なんだか後半は大事な盛り上げ場なのに、つるんと流れちゃったんですよね。こう、つかみどころのないところてん状態。なぜだろう。

で、私の結論は、後半のパワーダウンの原因は、やっぱり、「英語の壁」? 
この意見については賛否両論あるかもしれませんね。でも、チャン・ツィイーは、
今まで「グリーンディスティニー」や、「ヒーロー」で活躍してたけど、
すべて、母国語の中国語だったし、あれはお得意のアクション映画だったしね。
やっぱり、英語で感情を盛り上げての演技というのは、まわりもすべて
英語を母国語としない人だと、厳しいのかなあと思います。

いやあ、チャン・ツィイーの演技が悪いというわけでもないし、
桃井かおりなんかすごくいい演技してました。英語もうまかったし。
でも、それぞれ英語にクセのある人が寄り集まると、アメリカ人から見ると何となく、
物足りないのかと思ったんです。

たとえば、日本の映画をアメリカ人の原作で、アメリカ人が監督し、
中国人が演じると果たして日本映画になるのだろうかという好奇心の方が
強くなってしまって、映画の間中、ここは日本っぽい、ここは違うという「間違い探し」に
一生懸命になってしまった感じがします。だから、アメリカ人も同じ感覚?

『シカゴ』のロブ・マーシャル監督だけあって、華やかな絵のようなシーンには
ホレボレするものがありました。アカデミー賞の美術賞などとってもらいたいわ。

物語が幼稚とかいうリビューをどこかで読んだけど、そんなことはないと思うの。
ベストセラーになった本だし、原作に問題はないと思うんだよねー。やっぱり演技力の問題?

P.S. 渡辺謙はやっぱり、かっこいい。南果歩にとられちゃったわ。くやしい。


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この記事へのコメント
SAYURI いろんな意見がありますね。
でも やっぱり観てみたいなぁ☆映像を。

そうそう。 南果歩 やりますなぁ。。。
Posted by smile…m at 2006年02月09日 01:09
「SAYURI」こちらでもやってるのですが、そんなにいい映画なんですね^^
一度観に行きたいと思いまだ行ってない侍です・・・。
オレもアメリカ人からみた夢の中(フィクション)の日本の映像に
興味があります。
問題は演技力か・・・。
Posted by 琉球侍 at 2006年02月09日 02:46
茶々姉さん・・・映画評論家みたいでかっこいいです!
わかりやすかったし。
Posted by simple しげ at 2006年02月09日 04:04
★smile...mさん、
私の友達は、泣いたらしいので、好きな人はとっても好きかも。
わたしは、「着物の着かたが違う」とか、「髪型が変」とか、
そんなことに気を取られて、あら探しをしてしまったよ。ははは。

★琉球侍さん、
映像はきれいだったよ、ホントに。
友達の知り合いのゲイの男の子が、芸者学校に行きたいって
言い出したくらい。(ホントの話!)

★しげさん、
ありゃ、お褒めいただいて、嬉しいわ。どうせだったら、
淀川長治さんみたいに、「さよなら、さよなら」ってやりたいですね。
あ、知ってるこのおじさん? 最近は、こういう地のキャラクターが
インパクトのある大人って少ないよね。
Posted by 茶々 at 2006年02月09日 11:14
確かに、チャン・ツィイーの着物姿だけを見たら、

「どっかおかしい」ってつっこみたくなりますねーーっ

↓で朝日の船橋洋一さんがこの映画のレビューされてます

http://www3.asahi.com/opendoors/zasshi/syukan/briefing/backnumber/700/770.html
Posted by ロボ太 at 2006年02月09日 15:43
★ロボ太さん、
さっき、船橋さんのレビューの感想を書いたんだけど、やっぱり、ああいう書き方は良くないと反省したので、やり直しです。(笑) やっぱり、船橋さんのレビューは的が外れてると思うし、好きじゃないので、私の好きな戸田奈津子さんのレビューを張っておきますね。

http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/edu/weekly/hanamichi/news/20051221org00m040016000c.html
Posted by 茶々 at 2006年02月10日 15:44
訂正前の内容は、ちゃんと読みましたよ

まず茶々ちゃんがアメリカで映画に関わる人たちを
大変尊敬されているんだな、ということをひしひしと感じました

そして、ワタクシも反省しております、かなり政治色の強いレビュー
をリンクしましたこと

やはり個人が書いたコラムとはいえ、一新聞社のいわば方針や
イデオロギーみたいなものが色濃く反映されてしまいますね
だから、船橋くん、色眼鏡かけたようなレビューになっているのは
確かだと思います

あと、欧米人の東洋的なものへのあこがれは結構あるようですね
たとえば、俗な例でいうと、漢字のインスタント入れ墨いれるとかね
ワタクシは当地で生活したことがないんでそんな彼らのあこがれ
を実感することがないんですが、どうでしょう。

こうした映画がハリウッドで作成され、そこそこの興行収入を得ている
のはそういった背景もあるんでしょうね

ということで、茶々ちゃんの映画レビューはこれからも楽しみに
しております。

戸田奈津子さん、去年の秋、翻訳者の集いで講演されたので
すが、時間の関係でお話し聞けなかった
残念だったなぁ...
Posted by ロボ太 at 2006年02月11日 10:51
★ひゃー、ロボ太さん、
読まれちゃったんですね。いつも、母に「あんたは気が強いから、もっと優しい言葉遣いをする様に気をつけなさい」と言われてるんですが、どーも、アメリカに来てから、ますます気が強くなってしまったようで、あとで、言い過ぎたと反省する事が良くあります。(反省ザル)怒ってたのは、船橋さんのレビューの書き方であって、別にロボ太さんに怒ってた訳ではないので、怖い女だなんて思わないでねえ。

映画は現実の社会や文化を反映するものもあれば、夢の世界を作り出すものも両方あって言い訳で、その中間の映画もあったりするんだと思うんです。それに、日本人の監督と映画製作会社が、カナダ人俳優かなんかを使って、西部劇かなんかのべたなアメリカ映画を作ろうとするときっと変な映画になってしまうと思う。そうやって比べて考えると『SAYURI』は、頑張ってたよって思うんです。

船橋さんは、映画じゃなくて本のレビューは詳しくてお上手でしたよね。本だけのレビューにしておけば、茶々は幸せな一日を送れてたのにな。

戸田奈津子さんの後援会なんかもやるんですね。翻訳人、かっこいいですね。私は、職場で翻訳やらされた事があるけど、ほんの2、3枚で丸3日間、他に何も出来ませんでしたよ。いやあ、奥が深いっす。ロボ太さん、リペクト!
Posted by 茶々 at 2006年02月11日 11:23
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